【シリーズ】多くの看取りを通して感じたこと2(訪問看護)

前回は、胆嚢がん末期の女性の方のお話でしたが、今回は、96歳女性。横行結腸癌。肝転移、肺転移の末期状態の方のお話です。

【ケース2 96歳女性 横行結腸癌。肝転移、肺転移の末期状態の方】

この方は、5〜6年前に横行結腸癌の手術を行いました。総合病院退院後は、家の近くの医院で外来フォローをされていたのですが、癌が再発し肝臓と肺に転移していることがわかりました。末期状態で、治療もないことから入院せずに、ご自宅で最期まで過ごしたいという希望から在宅医療となりました。ご家族は、北九州に住まわれており、週末には実家に帰られていたのですが、息子様も具合が悪く、入退院を繰り返されていたため同居はせず、ご本人様一人で生活を続られ、毎日、ヘルパーさんが訪問しては、身の回りのお世話をされていました。徐々に食事が食べられなくなり、日に1回500mlの点滴が開始となりました。癌の痛みも出はじめ、痛み止めの座薬を使用するようになりましたが日に日に痛みが強くなり、医師は持続皮下注(皮膚に注射の針を刺し、持続的に痛み止めの薬を入れる器械)を行うように説明されました。

しかし、ご本人様は、最後まで自分でトイレに行きたいと、器械が付けられることに強く拒否されました。ご家族様とヘルパーさんからも、「自由を奪わないでほしい」と訴えがあり、24時間の点滴と持続皮下注を行わないこととなりました。動くと痛みはありましたが、最期まで一人暮らしを続け、自力でトイレにも行き、意識もしっかりありました。

ある日の朝、意識が朦朧としているところを、訪問に来られたヘルパーさんが発見。徐々に呼吸も浅くなり、とうとう最期の時が訪れました。死の間際、ご本人様が好きだったという歌をヘルパーさんたちが合唱され、お見送りをし、ご本人様は、「ありがとう」と言い残し、お亡くなりになりました。この方は、以前学校の先生をされており、自分にも他人にも厳しい方で、息子さんやお嫁さんに、迷惑をかけたくないという思いの強い方でした。その思いをかなえるために、24時間の点滴と持続皮下注を行わないように医師にお願いしましたが、痛みが強くなってからは、トイレに行くのも辛そうでした。病状的には、少し眠らせてあげる方が良かったのかもしれません。本人は、最期まで意識があり、いつも訪問してくれていたヘルパーさん達に囲まれ、息を引き取りました。家族は、間に合いませんでしたが、本人にとっては安らかな死であったのではないでしょうか。家族も大変感謝されていました。

人の命は長さではなく、「どのように生きたいのか」が重要ではないかと考えます。あなたなら、どのような生き方(死に方)を選択されますか。

訪問看護サービス 管理者 岡田千恵子

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