小さな命 〜命の尊さに違いはない〜(訪問看護サービス)

普段の仕事から“命”に係わることが多くあります。命とは尊いものであり、真摯に向き合わないといけないものだと常々感じています。今回は、普段の仕事から少し離れて感じた“命”について感じたことをお伝えします。

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先日、早朝6時に、父から、「猫がおるんよ。どうしようか」と連絡が入る。「家で飼ってやったら」と私。「2匹も家じゃ飼えんが」と返答あり、電話を切った。午後3時、仕事も休みだし、朝の騒動もあって実家が気になり様子を見に行くことにした。玄関を開けると、母が横になり、泣きながらテレビを見ている。「どうしたん。猫は?」と尋ねると涙声で、「もと居ったところに置いてきた」と母。まるで小さな子供のように泣いている。今日は、気温が30度を超えるそうだし、子猫をそのままにしておくのは耐え難く、母が戻したという場所に見に行くことにした。そこは、西山海水浴場の岩場で、草が生えやや日陰になっているところであった。草むらの間から「ミャー」という微かな泣き声が聞こえる。草を掻き分けると、手のひらに乗るほどの小さな子猫がうずくまっていた。あまりの可愛さに、すぐに抱き上げ実家に連れて帰る。お水と牛乳を与えると、おいしそうに一気に飲み干した。朝から飲まず食わずで、とてもひもじかったに違いない。お腹いっぱいになった子猫は、顔いっぱいの大きな目で私を見つめる。「お母さん、大丈夫。うちに連れて帰るけ。」と母に告げ、車に飛乗った。実は、家には2年前に連れてきた犬がいる。ミニチュアダックスフンドの“りゅう(雄)”だ。この子も、前飼い主が緊急に入院し、アパートに1匹でいる所を保護された。前飼い主は、自宅に帰れない状態となったことから、近所の方が犬を引き取るように、息子、娘さんに連絡をしたが、「家じゃ飼えんから殺処分してくれ」と言われたそうだ。その話を聞いた次女が、私に相談。家族会議を開き、「家で引き取ろう」ということになった。

“りゅう”は、可愛がるだろうか。半信半疑で、子猫を連れて帰る。「ワン、ワン、ワン」とけたたましく吠える“りゅう”。「フー」と腰を曲げて怖がる子猫。「やっぱり、だめか」猫と犬を一緒に飼うのは、無理みたいと思った私は、保護猫を里親に出すことにし、ボランティアの方に連絡をした。担当の方がすぐに来てくれ、子猫の写真を撮り、「今から、SNSで里親募集をかけます。とてもかわいいから、すぐに見つかりますよ」と言われた。猫の引き取りもしていただけたのだが、どうにも気になり里親が見つかるまで、自宅で保護することにした。子猫は、とても人懐っこく人を怖がらないことから、「捨てられたんだな」と感じた。子猫と“りゅう”が出会って初日は、お互いが威嚇しあい、「ワンワン」「フー」の繰り返しで、部屋を分けなければならない状態であった。2日目、何となくお互いの泣き声が優しくなり、猫も犬を怖がらなくなった。その晩、目を離した隙に、“りゅう”が子猫のところに行き、寝ている子猫をペロペロとなめては、かわいがる姿が見られた。その日を境に、お互いを受け入れたようで、いつも一緒に行動するようになった。また、家族会議を開き、子猫をどうするか話し合った。「“りゅう”が、かわいがるから、このまま家で飼おうよ」みんなの意見がまとまり、ボランティアの方に連絡。子猫は、晴れて家族の一員となり、“はる”という名前が付けられた。

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今回、たった1匹の猫のために、里親探しにご尽力いただいたボランティアの方には、本当に感謝しかありません。そして、他種動物にも関わらず、子猫を受け入れてくれた“りゅう”にも感謝です。子猫に対して、父親のように優しく接する“りゅう”を見ていると、人間の身勝手さ残酷さを少なからず感じました。もし、子猫が人間の赤ちゃんだったら、簡単に捨てられるはずもありません。子猫も人間の赤ちゃんも同じ命なのに、なぜ人間は簡単に他種動物の命を奪おうとするのでしょうか。自分達の都合で動物を飼い、いらなくなったら処分するという考えが本当に良いのでしょうか。“りゅう”と“はる”のように、お互いを認め合い、慈しみながら生きていける世の中を作ることが、私達、人間に課せられた役目なのではないかと感じました。

訪問看護サービス 管理者 岡田千恵子

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