【シリーズ】多くの看取りを通して感じたこと(訪問看護)

訪問看護では、病気や障害を持った方が、その人らしく療養生活を送れるように、看護師がご利用者様のご自宅を訪問し、24時間365日体制で対応させていただいております。病状や療養生活を看護の専門家の目で見守り、適切な判断に基づいたケアやアドバイスを提供し、在宅での療養生活がスムーズに送れるように支援させていただきます。

当事業所では、これまで多くの在宅での看取りを行ってきました。癌患者様と接する中で、訪問看護師として、本当にこれでよかったのか常に迷うのですが、その中でも、特に印象に残るケースがありました。

これから、何度かに分けてお話させていただきたいと思っています。

【ケース1 56歳女性 胆嚢がん末期の方】

食欲が落ち、少量しか食べられないことから、高カロリーの輸液が行われました。癌の痛みも強いため、麻薬の貼り薬と痛み止めの持続皮下注射(皮膚に針を刺し、24時間痛み止めの注射液が流れるようになっている器械)が、行われることになりました。痛みはありましたが、歩行は可能で、入浴も娘様の見守りのもと行えるレベルでした。娘様は、看護師で、痛みの訴えがあってはいけないと、再々持続皮下注のボタンを押していました。ボタンを押せば、痛み止めの薬が流れ、痛みは軽くなりますが、副作用として眠気に襲われる方もいます。本人は、「やりたいことがあるのに、眠くて何も出来ない。眠気を取ってほしい」と常に訴えられていました。徐々に食事量も減って行き、点滴量も増量されました。点滴量の増加に伴い、お腹の腫れと足の浮腫が強くなり、毛穴からは、汁が漏れるようになりました。本人は、「点滴を止めてほしい」と訴えたのですが、娘様の希望で、24時間の高カロリー輸液が続けられました。訪問看護師にも、「買い物もいけない。やりたいことができないから、点滴を止めてほしい」と何度も訴えました。本人は、「2階に上がり、自分が死んだときのためにやらなければならないことがある。それが出来ないのが悔しい」と言いながら、ご自宅でお亡くなりになりました。ご利用者様は、余命1か月と言われていましたが、高カロリー輸液等を行うことで、2か月も命が伸びました。しかし、本人は、自分のやりたいことも出来ず、副作用に悩まされ、ほとんどの時間をベット上で過ごすこととなってしまいました。余命が伸びたことは、家族にとっては良い結果だったかもしれません。しかし、命が伸びても自分のやりたいことができない場合、生きているということになるのでしょうか。看護師として、もっと出来ることはなかったのか、ご本人様が納得の行く生き方を選択するためには、どうすれば良かったのか、今でも考えさせられるケースでした。

もしも、あなたが、介護者だった場合、どうしたいと思われますか。

訪問看護サービス 管理者 岡田千恵子

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